2010年3月9日火曜日

ローザンヌ国際バレエコンクール





2010年は街にいる普通の人が突然踊り出し、そして何食わぬ顔でまた大衆の中に散って行く「何気にローザンヌ」がコンセプトの様子。その意味で、最終日の上海舞踏学校の出し物は、何気無さが抜きん出ていて見応えがあった(⇒中文記事)。男女の絡みがねっとりした雰囲気で、体型が若干ダンサーらしからぬ上海舞蹈学校学生们の演技は、先月まではFinale du 38ème Prix de Lausanne (02:53:59)で115分目から137分目まで20分以上に亘って見ることが出来た。しかしいつの間にかその部分が削除されていて、全体のビデオの長さも30分以上短縮されてしまっている。中国から「消してくれ」という依頼でも来たのだろうか。

私がこの国際コンクールが「臭い」と思う理由は、主催者側のビデオブログで個人的に取り上げられる人から上位入賞者が出ないことだ。つまり取材されたら上位入賞出来ない様に見え、コンクールが始まる前から既に入賞者を決めてあるんじゃないか、と疑ってしまうのである。初めから決まっているのに何故わざわざ審査されるんだよ!という憤慨があっても良いと思うが、主催者側から言えばコンクールと言うより公開レッスンを兼ねた祭典で、とりあえず見世物として楽ませるつもりなのだろう。

現地の情報によれば、
今年はスイスが中国と国交を結んだ60周年を記念し、決勝戦の最後の日曜31日に上海バレエスクールの生徒たちが公演を行う。また以前ほぼ毎年審査員には日本人が1人参加していたが、今年は中国から「中国ナショナルバレエ( NBC ) 」の校長ツァオ・ルエング氏が参加。
だそうで、中国への力の入れ方が半端じゃなかったらしい。しかし今現在、私が知る限りでは、どこを探してもその上海舞蹈学校の出し物が見られない。チャン・ツィイーのSAYURIが中国で放映禁止になっていたことは有名だけれど(私も彼女の動作はくねくね動き過ぎて気持ち悪かった。人形程で無くてももう少し大人しくして欲しく)、まさかバレエまで放映禁止なんて考えられないが。ローザンヌ国際バレエコンクールの内容について記した中国語の記事もなかなか見つけられず、名誉あることだと言うのに中国ではまだ、バレエすら「猥褻」で括っているのではないかと疑ってしまう。

や、うちの近辺というか、静岡県(とりあえず日本)のど田舎でも、バレエなんて言ったら「オエエッ気持ち悪い」と言う子供が多かった。今はどうだか知らないけれども、少なくとも私が子供の時には気取り過ぎていて付いて行けないと言うか、文化的に異様な物として受け入れられない人が圧倒的に多かった様に思う。裸体を死体と同じくらいに嫌悪する中国の場合には、露出度の高いバレエはまだ「見る物ではない」部類に属するのか。中国で洛桑国际芭蕾舞比赛の知名度が上がり、志す中国人が増えることが期待されていても、まだ世間一般には異次元ということか。中国にはバレエを専門に教える中・高等学校がいくつかあるらしい(北京の募集要項)けれども単なる趣味やお稽古ごととしてバレエを続けている人は極めて稀な様で。日本でさえバレエはあまり庶民的とは言えないし、見る人の層も限られているし、中国でいきなりバレエを広めろと言うのも無理かも知れない。遠い親戚(reechoの父の兄の嫁の姉の夫)も、最近は中国・韓国の台頭が目覚しいとか何とか言いながら、かこつけてアジアフルート連盟の会長になったりしているが。バレエでもやはり中国の台頭は見逃せず。しかしそれにしても洛桑に関する中国語の記事は少ない。

Prix de Lausanne 2010 Video Blog : Yu Hiu Tung


798芸術区では無防備に等身大の半裸人形晒せるんだし、そのくらいの無神経さがあればバレエぐらい解禁出来る筈だが。
しかし私には未だこれを芸術として見る人間の価値観が分からん……。政府の文化的弾圧への対抗か。もしや破廉恥だったら何でも芸術だと思いたがっているとか。
798芸術区でしか見られそうもない奇怪な猥褻物は、破廉恥な物を芸術と見做す外国人に対する嫌味で展示されていたりして(笑)。

素人のreechoには、どんなジャンルにしても芸術の審査基準は皆目分からない。今回三位入賞の佐々木万璃子さんの場合、今年の1月上旬に行われた第13回NBA全国バレエコンクール中学生女子の部では5位に終わっている。審査員や審査方法が変われば簡単に順位も変わるのか。日本国内のコンクールでも海外留学の為の奨学金が付いて来るけれど、金持ちのお嬢さんなら自費で勝手に留学してしまうだろうし、留学生活が自分に合うとも限らないからか、スカラシップ賞を受賞しても留学を辞退する人もいるらしい。コンクールの審査基準は勿論不可解だけれど、人間の価値感って本当に分からない。

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