2010年7月24日土曜日

Taiwan-Mex

TaiwanMexのreechoが300元で泊まったところ、今はどうなっているか知らないけれど、当時は台北當代藝術館(日本語の案内)から数十歩のところだった。


台北当代芸術館、朝は法輪功の信者らしき人が入り口付近でゆらゆらとポーズを取っている。当代芸術館を北へ行くと、中学校の入り口。写真は登校前にコンビニで買い物をする中学生、台湾では中学生も登下校中に自由に買い物が出来るらしい。上下トレーニングウェアーで登校することも可能らしく、場所によっても違うだろうけど校則ってかなり緩そうな感じ。


台湾は比較的学校の建造物が綺麗なところが多い気もする。建成国中も、随分中学校としては立派な建物だな~と思ったら、元々日本の建造物で台北當代藝術館と繋がっているそうな。TaiwanMexは、その台北當代藝術館から東に50mほどの交差点南側、ファミリーマートのあるビルの最上階。そしてベランダに簡易式シャワー室。




reechoが泊ったのは300元/人の4人部屋。

ドミトリー入り口から撮る。
眺めは良いし涼しいし、熱中症で丸2日間TaiwanMexで寝込んだのだけれど、本当に心地良く休めた。冷蔵庫も自由に利用出来て、調味料&調理道具完備のキッチンで料理をしようとすれば勝手に料理が作れて、シャワールーム右側の洗濯機利用も自由。昼間はキッチンで管理人の母親に当たるおばあさんが実際に料理を作って食事しているし、夕方は孫がリビングのパソコンで、大音量でゲームを楽しんでいるし、まるで台湾人一家の家にホームステイした気分になった。


 
TaiwanMexの真向かいで当代芸術館の横に位置する四海豆漿大王は安くて嬉しい。菜包は具が大きくて中身が偏っていて味が北京並み?!である。台湾では、少しでも油を使っていると食べ物が気持ちが悪く感じられ、何か不純物が入っている様な気がしたりして……。豆漿・米漿は油が使われていないだけで非常に美味しく感じられる。とりあえず安くて腹の足しになることには感謝。

結局、安いものばかり食べて過ごし、ChinaAirlinesの機内食が最も美味しく感じられた台湾旅行だった。飲み物は無糖豆漿ということにして、現地で最も不満が少なかった食べ物は、セブンイレブンの野菜入りシーチキンおにぎり(鮪魚)1個25元。サンドイッチはなんちゅーか、もう品質改良希望……。Weblog

2010年7月23日金曜日

China-Airlines

既にChina Airlinesの公式ホームからは姿を消しているけれど、reechoが台湾へ行った5/6-5/13の便でセントレア利用なら往復チケット代は25000円だった。

名古屋-台北線25周年記念キャンペーン
~チャイナエアライン名古屋支店25周年記念オンライン限定記念運賃~
名古屋ご出発適用期間5/4~7/15, お一人様あたり運賃25000円(空港諸税・燃油特別付加運賃別途)

ここにちょっと紹介があるのだけれど、これを利用しなかった為に、空港へのアクセス料金を含めると5000円は損した勘定である。烏山頭ダムの会食の席で、「成田から来ました」と中部国際空港利用者に言ったら、「なんで?」と怪訝そうな表情をされて不思議だったのだけれど、確かに知らなかったのは間違いだった。キャンペーン情報を知っていたらわざわざ成田空港まで行かなかったのになぁ……。調べ足りなかったことを心底反省。


左…China Airlines台北(桃園空港)行きの昼ごはん、右…成田行きの朝ごはん。
チャイナエアラインは安い便でも比較的食事が美味しいと思う。個人用のテレビ等は無いけれど、北京行きのノースウエストと違って、食事時間をゆっくり取ってくれて、のんびり食事出来た。


食器が安っぽいからと言って使い捨てだと思ったら大きな間違いだった。壊れやすそうなプラスチック製のフォークもナイフもいちいち洗って使い回すらしい。北京行きのノースウエストではイヤホンも使い捨てで、持ち帰ることが出来たけれども、チャイナエアラインでは、ヘッドフォンが100円ショップ級でも使用後は必ず回収袋へ返却しなければならず。チャイナエアラインでは、どんなにちゃちでもRe-Useされちゃうのである。

台北行きではデザートがチーズケーキ、帰りはチョコレートケーキだった。あっという間に食べ尽くしたreechoと違って、まるでごはんを一粒一粒つまむようにゆっくり食べていた隣の台湾人のお姉さん(日本に語学留学経験あり)が、チョコレートケーキ要らないからあげると言う。reechoが遠慮して断ったら、「持って帰って。」と言う。容器さら持ち出すのはいけないんじゃないかと言ったら、その隣に座っていた日本語が話せない夫に彼女が中国語で聞いた後、彼の母親は何十回もチャイナエアラインに乗っていて、彼の母親の話では容器さら持って帰って良いそうだ、と言うのである。reechoが心配になってスチュワーデスに聞こうとすると、2人して「聞いちゃ駄目、聞かなくて良い」と一生懸命に突っ張る。怪しいので更に頑張って空姐を呼び止めると、案の定、食器類一切持ち出し禁止だった。2人はちょっとがっかりした様子だったけれど。台湾人の嘘は、大抵自分の都合を押し通す為であることが多い。中国人はその場で直ぐにばれるような嘘はなかなか言わないのだけれど、台湾人は即刻バレる嘘も平気でつく。そして嘘がばれても全然気にしない。嘘がつける人は賢いのだと威張るくらいでびっくりするのだけれど。他の台湾人曰く"我隨便說的"ということで、随時便宜的に、自分にとって都合が良いことばかり何の脈略も無く言い続けられるのだ。時折はた迷惑な親切心を発揮してくれるので、断る時には嘘をついてでも徹底的に断らないと延々と訳の分からない親切を押し付け続けるから注意が必要である。

ちなみに下の写真はデルタ&ノースウエスト航空の北京行きでの機内無料配布物。このイヤホンをたまたま台湾行きの荷物に入れていたお陰で、和欣客運の長距離バスでは予定外にテレビを楽しむことが出来た。ただデルタ航空は食事が不味くてあっという間に食器の回収に来た。そんなに食べるのを急がせてどうするんだ~と思った程。reecho的には、お金を掛けるならテレビより食事の方が嬉しい。

2010年7月21日水曜日

日月潭

日月潭は正直、暑いばっかりで楽しめなかった。早朝・夕刻の風景が美しいと言われているけれど、日中はそんなに綺麗でも無く。台湾人が日本を旅行したがる理由が分かった気がする。



長距離バス発着所のVisiterCenterにて水色の小冊子含むパンフレットをありったけ貰い。説明を受けたら、船の三回分(全程)チケットはは200元と言う情報を仕入れ、乗り場付近でチケットを購入。乗り場がどこだか分からんのだが、ビジターセンターから見て湖の左方向へ歩く。藍線チケット売り場では定価しか書かれていないけれど、「200元で」と言えばちょっとがっかりした表情で値引いてくれる。後になって分かったのだけれど、いくつもの船会社がそれぞれに運行していて、団体旅行客を除くと、船に乗るのは大抵夫婦か恋人同士である。日本の植民地時代に作られた人造湖らしいのだが、新婚旅行とかデートスポットとして台湾人に人気らしい。


青年活動センター側に到着


青年活動センター前から伊達卲碼頭まで歩く

何故か藍線の船は青年活動センター側(ここも伊達卲碼頭と呼びますか?)に到着するので、ロープウェイで山に登れる青年活動センター側から、商店街のある伊達卲碼頭まで10分以上歩くことに。青年活動センター側ではなく、次は商店街のある伊達卲碼頭から船に乗る。



こちら玄光寺

玄光寺の右手裏側にあるトンネル?を通って20分くらいの散歩道を行くと、玄奘寺に着く。



途中2箇所で鎖に繋がれている黒い犬に脅されたりするけれど。この道中、唯一人たりともreechoとすれ違うことは無かった。階段があるから自転車も通らず。観光客は多いのだけれど、うだる様な暑さの中、誰もわざわざ寺から寺へ歩いたりしないらしい。


玄奘寺前からの眺め。


玄奘寺及び再び帰って来た玄光寺右手裏のトンネル?前にて。このトンネルを通って玄光寺から玄奘寺に行く人は本当に稀である。無論、reechoは除いての話だけれど。犬でも配置しておかないと一人歩きは危険だということで。。


犬に吼えられながらの帰り道



一番安い自転車でも最低1時間200元は掛かるビジターセンター地階のレンタサイクル店、入り口は日本語で「押してください」、木曜は定休日。女性3人並んで撮っている写真の自転車が、一番安い女性車(200元/h)でヘルメット付き。前輪と後輪それぞれでかなりの段数のギアーチェンジが可能。お元気な方はどうぞ自転車で何時間でも頑張ってください。


帰りのバスから眺める風景の方が現地より綺麗だと思ったんだけど^^。

台北で前日、日本円に換算すると1万円以上入っていた財布を盗まれ、なんかもうお金を使わずに大切に仕舞っておく価値が分からなくなってしまい、実質最終日になって予期せぬ奮発をすることにしてしまった性質の悪いreecho。やっぱ旅行中の現金は、盗まれることを想定して何箇所かに分けて所持するべきで。ついでにreechoの感覚では、中国大陸と同じくらいに台湾人は嘘つきが多いので注意が必要と思います。

結局台北から国光客運で往復820元の無駄使い。台中からなら南投汽車客運で約半額。ここに2年前の紹介があるけれど、reechoもわざわざ行く場所じゃ無いと思った。台中に住む台湾人も阿里山の方がお勧めっぽかったので今度遊びに行くなら阿里山かな。

2010年7月17日土曜日

みみっちく台湾旅行

講談社現代新書 佐々木瑞枝著「外国語としての日本語」を読んだ。韓国人が見せるような親しみを込めて書き進められている本なのだが。その中の175頁から下のような話がある。

 日本が台湾などで植民地政策をとった際、日本人は現地の人々に対して敬語で接することがあったのだろうか。私が台湾の日本語教育関係者に会ったとき、植民地時代に日本語を覚えたというある先生から、こういう話を聞かされた。
「われわれが耳から覚えた日本語は『こっちへ来い』『早く行け』『何の用だ』といった命令調のものでしたからね。日本語とはそういうものだと思いましたよ。それで同じことを日本人に言ったらひどくなぐられましてね。私には理由がさっぱりわからなかった。今なら、相手によって『こちらにおいでください』『こっちに来てください』『こっちに来て』など使い分けられますが……。『こっちに来い』はさすがに使えませんね」
 まさに赤面の至りだ。戦後はまだ終わっていない。こんな言葉の世界にも、日本が戦争で侵した傷跡が残っている。

というものだ。このように上下関係を生み出す道具になり得る日本語にも問題があるのだが。「日本語とはそういうもの」ではなく、日本人はそのように差別を好むのだと信じている台湾人が、今でも非常に多い。植民地支配に何の関わりも無い日本人ならまだ大丈夫かも知れないけれども、植民地支配の関係者だと分かると血相を変えて怒り狂う人も多い。自分が差別に反対することを懸命に訴えるとか、正に復讐のような形で、日本人に威張り散らして仕返しをしようとする人もいる。過去に馬鹿にされた屈辱を晴らそうと、日本人を蹴散らす態度をとる台湾人が意外に多い。韓国人に日本語を教えたことがあるけれども、これは韓国でも顕著で、反抗して威張り散らしながら、過去の日本を謝罪しろ、と日本から受けた被害を延々と訴え続けるのである。ただ過去の苦しみを日本人に知らしめる為だけに日本語を学んでいるような韓国人には、正直日本語を教えるのは間違いじゃないかと思ったりした。復讐の為に日本語を学ぶのはやめてくださいと言っても、日本人を懲らしめる為に日本語を学ぶ人が後を絶たないのは事実である。台湾で日本語教師になろうか、なんて甘いことを考えたこともあるけれども、韓国人のように一生懸命に反抗されながら教えるのは大変だろうな~と思った。日本語が難しすぎて教えるのが苦しいということもあるのだけれど。韓国も台湾も、日本から差別的な支配を受け、日本人を恨んでいることには何ら変わりは無いのである。

「台湾人をナメたたら叩き殺してやる!」くらいの勢いで日本人を睨みつける台湾人が実際に多いことを考えると、危機意識を持って接しなければ台湾人も恐いと思うべきであり。だだ、台北のドミトリーで鉢合わせした関西弁のお姉さんの話では、どうもreechoが台湾人に見えてしょうがないのだということで。そんなに日本人に対して反抗的に見えるのですか?みたいな(笑)。台湾人になりすまそうと思えばなりすますことが出来るくらいに馴染んでしまった様で、確かに台北では台湾人から中国語で道を尋ねられて困ったりしたけれど。私はまだ行き先も中国語も分からない日本人観光客なのでして。したり顔をして街に馴染むのも大概にしようと思ったス。マジで。

台湾は、方位磁石を持って歩かないと、太陽の位置から方角を推測しようと思っても難しいんじゃないかと思う。日差しが痛いくらいで直射日光に当たる時には非常に熱いけれども、日が当たらなければそれなりに涼しくもなり、雨が降ると寒くなることもあって、日本と全く変わらない気温と思う時もあった。reechoは激安300円台のヒラキの靴を履いて歩いたけれども、出来れば定価一万円以上の一流メーカー品を履いた方が疲れずに旅出来ると思う。
初日は、深夜0時から朝7時までたった25元の、台中市の警察署と言うか交番?(北區中正路440號)から西へ100mのインターネットカフェ大都會台中市中正店(中正路476號)で一泊した。館内禁煙と言うのに受付のお姉ちゃんから、警察に見つからなければこっそり吸って良いなんてことを言われるが。しかし。館内飲食物持込禁止なので、テーブルなんかに自前の食べ物を出すと即刻厳重注意or強制退去の宣告を受けることになる。ここはありとあらゆる場所を監視カメラで録画しているらしいので、食べ物を出したら即刻NGだと思った方が良い。台北駅前(中正区南陽街8號)にある網路高手(夜10時から朝10時まで1泊100元)などでは飲食物店内持ち込み自由・出入りも自由なのだけれども、飲食物の提供がメインのインターネットカフェでは、食べ物や飲み物を持ち込まれたら商売にならないので絶対に禁止ということらしい。館内禁煙と言ってもタバコを吸う人は多いので、タバコの煙が苦手な人はインターネットカフェは難しいと思う。ただ、台北のインターネットカフェは換気が猛烈に効いていて、窓全開の窓辺では、まるで外にいるように心地よく一泊出来た。

荷物が心配なら、台北駅北側のビルにある長距離バス発着所、臺北轉運站(公式HOME)下階の3時間10元のコインロッカーに預ければ良い(写真)。このコインロッカー、開ける時にそのまま引いても開かず、少し押さないと扉が開かない。知らないと使用後扉が開けられなくて困るんじゃないかと思った。reechoはロッカーの隣にあるクロネコヤマト集荷所のお姉さんに電話してもらったのだけれど、何か問題があったらロッカーの管理所に電話すると数分で係員が来て対応してくれる(希望したら日本語が話せる職員が来た)。普通は暗証番号が紙に印字されて出て来るのだけれど、ロール紙が切れると使用前に自分で6桁の暗証番号を入力したりしなければならず、結構ややこしいこともある。使用方法―日月潭の旅客センター地階の自転車レンタル店横には、日本では市営プールにしか無さそうな無料(10元が使用後返却される)のコインロッカーがある(写真)。
お土産に1個20元以下の安い小物が欲しい場合は、臺北轉運站に程近い、駅地下街の小物屋さんっていうか宝石屋さん?が便利と思う。「米羅精品」という名前で地下街の区画は156、営業時間は大体8:00~21:30。ビーズで出来たキーホルダー(10元~)などが可愛い。

駅では、長距離の鈍行列車の切符が買えなくてびっくりした。区間車(写真)の場合には、いちいち一区間(運務段)ごとに下車しなければ切符を買い求められない仕組みになっているらしい。運務段ごとに下車するのが面倒なら長距離バスに乗るのが正解だと思う。場合によっては一番安い鈍行列車よりも安い。曜日や時間帯によっても価格が変わるらしいのだけれど、reechoが乗った時(5月6日-木曜20:45発)は和欣客運で大人1人台北から台中まで(三排椅)210元だった。和欣客運の場合は、台北行きのバス停が台中駅付近に無く、台中から出るのはちょっとばかり厄介らしいのだが。最も安い時には台北-台中(三排椅)120元、台北-台南220元なんてこともある。週末予約無しでもバス会社を選ばなければ大抵乗れるし、長距離でもそれぞれの会社(和欣国光統聯)で30分毎に出る頻繁さ!そして、何より立ちっぱなしの心配が要らない。空調がいまいち(の車内)で窒息しそうだったけれども、和欣客運では個々の座席にテレビが設置(アームレスト内に収納)されていて自由に見られる。今年中に国光客運でも個人用テレビが設置(背もたれ後方に埋め込み)されるのだそうな。長距離バスでテレビを見るならイヤホン持参が必要不可欠。
台北駅の西側にある国光客運バス発着所のB棟(案内図)では、24時間チケット売り場が営業していて受付の職員が常駐しているし、監視カメラも何台か作動しているように見え、比較的安心して一泊することが出来る。セブンイレブンも近いし、台北で無料の野宿を希望するなら国光バス発着所B棟がお勧め。普通の男女が20人以上、明け方のバスを待ってベンチで宿泊している様子だった。飛行場でもなく、街中で野宿すると、嫌でも現地人っぽく見えるようになるのかも知れず。reechoみたいな命知らずな人はどうぞご勝手に台湾激安旅行を楽しんで下さい。

2010年7月13日火曜日

김봉웅씨 별세

中学時代に真面目に読んだ本と言ったらつかこうへいの本だった。入試を通過しなければ入れない国立中学に間違えて入ってしまい、予想だにしなかった厳しい学校生活と学業に完全に疲れ切り、ドンケツ状態のヘタレな成績を維持しつつ、おちゃらけて自分の不出来を笑い飛ばさない限り、苦痛のあまり自殺したくなるような日々が続いていた。学校では出来る生徒と出来ない生徒との差別が激しく、出来の悪い生徒は侮蔑され、学業において劣等な生徒は意味も無く総じて不良扱いされ、教員による分別によると入学早々reechoもちゃっかり不良の仲間入りを果たしてしまっていた。

中学時代は、つかこうへいの小説・戯曲を読めば満足出来た。腹黒さを誇張して笑いを取るのがたまらないと言うか、悪さや至らなさに対する突拍子も無い慈しみに感動を覚えた。個人的には、自分の出来が悪いことを笑い飛ばす手本を渇望していただけなのだけれど、つかこうへいの本でなければ癒されない苦痛が、reechoの中学校生活には満ちていた。

ある日国語の先生が、クラスで生徒全員の黙読の速度を計ったところ、reechoが最も遅いことが判明した。自分を抜かした最も遅い人の実に2倍の時間を掛けなければ、reechoは文章が読めなかったのである。乱視は多少あっても文字が見られない程ではない。ただ読書が好きでは無く、音読の速度以上に速く本を読む必要性を感じたことも無かった。それでも運悪く、中学入試で間違って滑り込んでしまったのだから仕方が無い。そもそも小学生の頃は自主的には漫画本しか読まなかったし、漫画本を読むのがのろい、と友達から苦情を言われたことはあったけれども、別に本を読むのが遅いからと言ってreechoに本を貸している友達以上に不自由する理由も無かった。学校で強制的に読書させられても、飽くまでも単なる時間つぶしで、出来る限りのんびりと文字を眺めれば良く、文字を早く理解する必要なども生じたためしは無かった。

そんなreechoが偶然母の蔵書によってありついたのがつかこうへいだった。登場人物が漫画ちっくにどたばたと激しく動きまわるのが楽しく、少なくとも文字の意味を拾う喜びは、それまでに読んだ漫画以上に実感出来た。アバズレだのと下品な言葉が闊歩するので、純文学少女系の母は眉をしかめていたけれど、興味を持って読める本を当時のreechoは他に見つけることは出来なかった。今思えば、文章が三島由起夫の様に押し付けがましく俺様俺様していないし、威張ることのはしたなさを充分に心得ていて、威張りながらこっそりデリカシーを垣間見せるところが心憎いと言うか。一種の気配りと言うのか、日本人よりも韓国人の方が、その場の空気を読むのが上手いと思わせる。

パク・ヨンハにちなんで、なぜ韓国人は暗く悲しい歌を好むのかと考えてみたのだけれど、社会的な苦しさを抜かせば、日常的・言語的な理由として、言葉を発する際に音の上下があまり無いことが挙げられるんじゃないかと思った。音を上下させず、イントネーションに勢いが感じられないと何かじめじめした印象になるのである。日本語の場合、「そうです」「嘘です」「ファンです」「本です」を発音する場合、どれも大抵ドソファミ(1543)ドは高音で--くらいの音の差が生じるのに対し、韓国語の場合(知っている単語が少なくて恐縮なのだけれども)"팬이에요""아니에요"などは大抵ラシソラ(6756)くらいの音の違いしか生じない。激しく上下してもチャルメラ程度と言えば良いか、長く喋ればパトカーくらいの音程差が生じるけれども、ともかく音の動きが少ないのである。日本語は、言葉を発する際にでる音の高さがはっきり聞き取れない程に、口先だけで言葉を発し、音程をはっきり出さず、内緒話に向いている言語じゃないかとも思う。中国語は、例えば"是"一文字の発音でもソからドを一気に発音し、ドからソ以外の低音・高音は必要無いけれども、余程音程をはっきり発音しなければ意味が伝わらない。言葉を発している際に、煮え切らない奴がいないと感じさせるのも中国人の特徴である。英語も発音にリズムと勢いがあって、実にリズミカルに勢い良く発言するように見える。しかし韓国人は、音は若干動くのだけれども、感情が言葉からはみ出していると言うか、感情が言葉の裏でくすぶっていると言うか、音声を超越して感情が一人歩きする印象が感じられるのである。韓国人が、言葉以外の表情や態度等による感情表現に熱心なのも、音の高低差が少ないからじゃないかとすら思われる。音声によって気分を消化させられないのは、ストレスがたまる原因になるんじゃないのかな、とか。

ともあれ母親及び自分を育てた人の発する音というのはどの国の誰にとっても大抵心地よく感じられるもので、その高低差の少ない、あまり上下しない音が、韓国人にとって心地よい音として心に染み込み易いんじゃないか、と。だから韓国人は、音が激しく上下する明るい音楽を一般的に好まないのではないかとも思う。

「傷つくことだけ上手に」とか言いながら、傷ついた自分を慰める方法もまたどこかしら暴力的で、結局たばこによる肺がんで逝ってしまったけれど。やっぱ最後まで観客を笑わせることを考えていたんだな~と思わせる。病気の原因及び悪の原因を自分の生活から徹底的に追放するのも良く考えればはた迷惑で辛らつなのだけれど、病気と仲良く、駄目な自分と仲良くなんて悠長なことを言って、上手に悪者になろう、なんて言うのも困りもので。訃報を聞いて、上手にワルになろうと頑張っていた中学時代の自分を思い出して思わず笑ってしまった。そんでもって、ついでに突然訳の分からない親切心を見せる北京の社長を思い出してしまった。顔が微妙につかこうへいに似ていて、連絡していないんだけれど、あのヘビースモーカーも今頃元気にしているだろうか。あの父親の娘だったら、雪組のトップじゃなくてもかなり良い路線で活躍出来るだろうと思うんだけれど。また顔を見せに来てくれたりしないだろうか。ねぇ。

東亜日報

2010年7月2日金曜日

復讐の文化

パク・ヨンハはなぜ自殺したのか

パク・ヨンハを知ったのはかの有名な「冬のソナタ」である。私はあのドラマのベ・ヨンジュンが嫌いで、韓国人に同意を求めたら、やっぱり「あの」冷たいベ・ヨンジュンは嫌いだということで意見が一致した。なぜ「あの」が付くかと言うと、他の場では偽者が多いからである。パク・ヨンハは偽者がいなくて、一人に掛かる負担が大きかったのかも知れない。偽者がいればイジメも回避出来ただろうし、もっと気楽に自分の人生を楽しめたかも知れない。冬ソナ以降のパク・ヨンハは「LovingYou」しか見たことが無い。元気はつらつな若者役で好感が持てて、主題歌も歌っているんじゃないかと勘違いし、本人の歌を聴いて見たら歌が暗過ぎて、それ以降パク・ヨンハへの興味を失った。明るいロカビリーとかロックンロールでも歌ったって良いんじゃないかと思ったのだけれど、じめじめと悲しい歌ばかり延々と歌っているのですっかり嫌いになってしまった。それで、最近自殺と聞いてちょっとびっくりした。暴力が原因で別れたと噂されていたらしいけれど、自殺しても涙が出ないユジンとは、ラビング・ユーの撮影中から険悪だったらしい。死人に口無しとか言って、どんな罪を背負わせたって本人いなきゃ平気なんて言うのもどうかと思うけれど。微妙に興味をそそられた。

上の記事からのリンクでこちらの記事を見たら「結局お金を払って見学しに来る以上純粋な形とは言えないと思う。」というのがあって、純粋な形って一体どんなんかと思ったが。韓国では、日本の様に高い料金(ファンクラブの料金等)を出して芸能人に会う習慣が無いらしい。ファンと芸能人が非常に対等な関係にあって、「お金を貰わなければサービスしない」というビジネスライクな関係を嫌うファンが多い。日本より共産主義的とでも言うのか、単に作り上げられた形式的な関係を嫌うだけなのかもしれないけれど。芸能人は金持ちにも貧乏人にも分け隔てなく接するべきみたいな文化があり、日本の様に金が無ければ芸能とは無縁、みたいな感覚は、一般の韓国人には無いらしい。韓国人が日本の質問コーナーで、日本の芸能人ファンクラブの会費はどうしてこんなに高いんですか?と質問しているのを読んだことがある。最近どうなっているかは全然知らないけれど。

「パク・ヨンハ」と「兵役」のキーワードで検索して見ると。ワウコリアによれば「角膜ヨンハ」と呼ばれていたりするらしい。
キム・ヨナが惚れていたと言われるイ・ジュンギ(この人本当に外観が涼しくて、日本人っぽい。釜山って他の地域に比べると日本との繋がりが濃かったから雰囲気も似たのかな。)も最近遂に入隊し、入隊しても芸能活動が付いて回ることをお披露目し、どんなに非経済的でも国民から信頼を得るには兵役を免れ得ないんだなと思わせる。
兵役を終えてから日本に来て中央大学に入学した韓国人留学生が、留学中という理由でまだ兵役延期中と言う同級生について、「こいつはまだ男じゃない」とか言って馬鹿にしていたり。日本では兵役について知ることは無いけれど、入隊しなければ裏切り者・非国民・犯罪者くらいに差別を受けることも事実らしい。兵役が嫌で諸外国で不法滞在及び逃亡を続ける韓国人も多いんじゃなかろうかと思われ。韓国人は、ずるをする人も多いけれど、楽をしている人に対する嫉妬心も強く、逆に苦しんでいる人を尊重する文化もあって、わざと苦しんでいる振りをしたり、自分の苦労を自慢する人も多い。日本人は韓国人ほど、苦しみや恨みを露骨に表現することは無いんじゃないかと思う。どんな苦労があっても、日本人は苦しみを認めず、どんな逆境も涼しく受け流す努力を怠らない。あからさまに苦痛や憎しみを顔に出すのは品が無いと思われるから、能面の様に無表情ということもある。

多分、苦労を表に出さない天真爛漫系のパク・ヨンハは、国民の嫉妬で袋叩きにされていたんじゃないかと思う。苦しくて当たり前、「恨」があって当たり前、むしろ「恨」こそが人間の素晴らしさであり美しさだと思っている韓国人にとっては、苦しんでいない人間を「いい気になっている」と言って非難するのは常識の様な印象さえ受ける。人を懲らしめるのが大好きというのもどうかと思うのだけれど。

果たしていじめが激しいのは日本か韓国か。日本では本来、プロレスのように起き上がれなくなるまで叩きのめすスポーツは流行らないと思われ。何か徹底的にボコボコにするのが好きな人が韓国人に多い様な気がするのは間違いか。勿論日本人にも気性の激しい人は多いし、徹底的に叩きのめさなければ気が済まない人もいるけれど、復讐を美化する文化は日本には存在して欲しくない。と言うか、苦しみや恨みを正当化しない限り、復讐を美化することも無いんじゃないかと思う。苦しまない人間は間違いだ、という程の韓国社会ってちょっと怖いと思う。