2010年8月9日月曜日

仲間外れ

日本人は、組織の中に入ってその組織の一部として働くようになると、自分が所属する組織を客観的に分析することが出来なくなるきらいがある。その組織の一部であることに不満を持ったらそこに存在することが苦痛になるだけだから、その組織の良い所だけを見て自分の立場に満足しようと努力するのではないかと思う。現状に甘んじられないならば、自分がその組織を内部で変えるか、その組織から外れるか、つまるところ、仲間はずれになる以外に道は無くなるのである。日本人、仲間はずれに弱い。上下関係が厳しく、服従を強いられる組織において、もしその組織に逆らうことを言ったら、いじめに遭っても不思議は無い。日本での仲間はずれは単なる孤立では無く、組織の存続を脅かす者への制裁・リンチという「反逆者撲滅運動」が付いて回る。なぜ皆が一斉に同じことをしなければならないのかと言えば、稲作によって生活を営み続ける以上、皆で一斉に仕事をするのが最も効率が良いからである。一糸乱れぬ共同作業を旨とし、団体行動を乱す者を叩き続けることによって、初めて組織の生活が安定的に営まれると考えられる。組織から外れる者を厳しく取り締まらなければ生命の危険を感じるのが日本人である。仲間から外れたら生きていけないと思う日本人が仲間はずれに弱いのは、歴史的に生半可な理由に因るものでは無い。

韓国人は、他の人と一緒でなければ外食しない。日本人が一人で喫茶店に入ったら怪しまれて警察を呼ばれ、事情聴取を受けたと言う話が、韓国の政治経済に関わる対談形式の本(名前を忘れた)の中にあった。韓国では、一人で外食する人が怪しまれるのである。食べ物を共有するのは当たり前で、残飯の再利用が問題になることがあるらしいけれど、ともかく韓国人は、食堂で孤独な食事をしない。同性同士が手を繋いで歩くのを見て変だと感じる日本人のreechoだけれども、日本人よりも韓国人の方が、連れ立って行動するとか、人と物を共有することを好む。仲間意識や共有する感覚も日本人より強いだろうと思う。親しい人と物を共有しない、或いは人と連れ立って食事をしないことは、韓国人にとっては「異常」な光景なのである。仲間はずれだから異常なのではなく、ただ一人で食事をすることが異常な事態と見られるらしい。同じ感覚を共有しない人間には分からない、暗黙の常識がそれぞれの組織にあるのだと思う。

台湾へ行って見て、初めて現在の日本にあまり精通していない台湾人と知り合い、一般の台湾人が日本をどう思っているか知ることが出来た。台湾人が日本人をどう思っているかと言えば、天皇を崇拝し、その信仰を自分の支配する国の人々に強制し服従させ、日本が一番でその他は劣等であるという強固な信念と確信に満ちた、威張り腐る石頭である。日本人は、負けるという疑いを絶対に持ってはならなかったのである。
戦前の台湾人或いは朝鮮人にとっては、信じたくも無い日本の神への信仰を強制され、天皇に対する絶対服従を強いられ、しかもその組織からは逃げることが許されなかったという事実がある。極端な例を挙げるとすれば、その支配は台湾人・朝鮮人にとって、現在の日本人がオウム真理教への入信を強いられ、オウム真理教からの脱退が許されず、極悪非道な殺戮に加担させられたのと同じくらいの衝撃と怒りを持って非難されると思った方が良い。例え日本人によって自国に富がもたらされたという事実があったとしても、その支配による精神的苦痛を考慮した場合、現在の日本人が「自分は潔白だ」等と言おうものなら、浅原被告の「私は潔白だ」の発言を連想させる、無責任で残酷な発言と思われても仕方なく、また「まだ天皇を崇拝しているんですか?」と平気でreechoに聞く台湾人の中には、それ相応の厳しい反日感情があると考えられる。

しかし逆に、天皇への崇拝を強制した日本人が何の罪も感じていないのも当然である。それが自分たちの信仰であり、強制することを自分たちが強制されていたのであり、そうしなければ殺される日本人に何を言っても無駄である。命懸けの信仰には、それ以上に命懸けの抵抗と攻撃が無ければ、うっかり従わされてしまうのではないかと言う恐怖が、まだ台湾人の心の底にはある。だから現在も台湾人は、強烈な頑固さで執拗に、日本人の信仰と上下関係に対抗し続けるのである。考えて見れば、現在の改心した日本人がどういう考えであろうとも、過去に被害を受けた人々にとっては関係が無い。彼らにとっては被害を与えた日本が全てなのである。組織に服従させようと頑張った日本人が、台湾人・韓国人にとってどれだけ迷惑だったか、そして日本人にならなければならなかった台湾人がどれだけ苦痛を強いられていたか、皮肉にも日本に実存する新興宗教に例を見る思いである。小学6年生で家族が一斉に入った新興宗教に、入りたくなくても自動的に入らされていたreechoがこんなことを書くのも滑稽なのだけれど。

日本の神を崇拝し、天皇に服従することを誇りに思った、完全に洗脳され、また現在も洗脳から醒めたくないと考える台湾人に対しては、日本人と同様に謝罪が必要無いかも知れない。しかし、盲目的に親日的な台湾人は別として、洗脳を受けていない或いは洗脳から既に醒め切った台湾人に対しては、日本が過去に台湾人に対して宗教を強要したこと、天皇への絶対服従を強いたこと、そして帝国主義支配の拡大に無理やり加担させたことを侘びなければならないと思う。まるで元オウム真理教の信者が侘びる様に、日本人が心から懺悔し念入りにお詫びをしても、台湾人及び元朝鮮人は納得しないと考えた方が良い。自分が信じたことが間違っていたことを認めることも難しく、そもそも客観的に日本を分析することすら躊躇われる日本人のreechoだけれども、自分の所属した組織が誤った道を歩んでいたこと、そして自分が信仰していたものが間違っていたことを認めて謝罪しなければならないと思う。間違った信仰を広めようとして迷惑を掛けた人々に、reechoは今、心からお詫びしたい。m(_ _)m 許されると思ったら大きな間違いだと思うけれども、少なくともreechoは、許されるまで被害者に謝罪を続けたいと思う。

2 件のコメント:

  1. その通りで恐縮です。頭悪くていつも苦労します。頭が悪いとどれだけ無駄な苦労をするか、読む人の参考になると思われ、貴重なコメントに感謝申し上げます。率直なご意見、本当にありがとうございました。

    返信削除