2010年8月15日日曜日

よそ者

昨日夜8時からのNHK総合テレビで-日本の、これから-「若者が考える日韓の未来」を見た。20人ずつくらいの日韓の若者がスタジオで向かい合って、日韓の政治・経済・文化・歴史等について討論する番組で、結構面白かった。韓国の文化について、韓国では、男性同士が一つのアイスクリームをかき混ぜながら食べ合うとか、同性愛者でも無いのに抱き合って同じ布団で寝るとか、日本では家族でもそんなにべたべたしないと思う様なことが紹介され、親しい間柄の人間関係が、韓国では日本人の考える家族以上に親密だと思った。遠慮の無い文化と言ったら良いのか、「親しい人は皆家族」という発想が、よそよそしい人間関係を嫌うらしい。韓国人から見れば友達と共有しない人は親しみが無い、親しい付き合いを嫌がっているみたいだと思うらしく、食堂で一人で食事すると何て寂しい人なんだと哀れまれてしまうらしい。一緒に食事しても割り勘にする日本人を見て不思議がる韓国人について、京都大学の小倉紀蔵教授がコメントしていたけれど、日本人と違って割り勘をしない韓国人は「蓄積型」と言われるそうで、直ぐに借りを返さずに貯め続けたお金は、いつか自分が豊かになってから還元すれば良いと考えられるらしい。日本人は、人に借りを作ると極端に恐縮してぎこちなくなったり、借りを返すまでは頭が上がらないと思ったりするのだけれど、韓国人は遠慮の無い関係にこそ親しみを感じるらしい。

韓国では日本の「勉強する」を「공부하다(工夫する)」と言い表すだけあって、さすがに皆が皆それぞれに工夫すると思う。さまざまな工夫の結果、急激な変化を伴う企業改革や政治改革、体制の変革が出来るのかなぁと思ったりする。韓国人特有の短気な性格、「パルリ、パルリ(발리!발리!)」と言う気ぜわしない活動方針によるのかとも思うけれど、韓国人は静かな日本人に比べて行動派が多いと思う。日本の様に組織が硬くないのもそれぞれの気ぜわし無い性格と不断の工夫によるのかも知れない。中国語で「無理強い」を意味する日本語の「勉強」が、もし「工夫」と表現されていたならば、日本人はもっと楽しんで一人一人が工夫する様になっていただろうか。

韓国人は、人前で自分の意見を述べることが好きな様で、韓国の授業はやたらに個人のプレゼンテーションが多いらしい。日本人が控え目で目立たないことを好むのに対し、韓国人は人前に出るとか目立つことが好きな雰囲気がある。日本では、大人しくて従順でなければ、しつけられていない子供と思われる様なところがあって、大人しいことが大人らしく、それこそが人間的成熟だと考える文化がある。しかしこれを改めない限り、活発な意見発表も意見交換も喧嘩も、皆「五月蝿くて子供っぽい」と感覚的に片付けられてしまうんじゃないかと思う。島国という地理的条件から部外者との交流も乏しく、仲間内だけで全てを完結させる「村意識」も強い。その点で中国人は部外者との付き合いに慣れていて、変わり者の扱いが上手い。reechoも変わり者として、変わり者の扱いが上手い中国人にどれだけ救われたか分からない。日本人が中国人程に、部外者及び変わり者と付き合うのが上手になるのは歴史的に不可能としても、これからの国際社会で「変わり者及び部外者絶対お断り」を貫くのは結構難しいんじゃないかと思った。

中国備忘録を読んで気になったのが「人と違う道」の②と③。留学すると協調性がなくなると信じられているのか、世話するのが面倒だと考えている日本企業の器の小ささがみみっちい。「外の経験を持っていると、会社内の矛盾とかに気づきやすくなり、将来反乱分子になりかねない、と恐れている。」「何も知らないまっさらな人間の方が教育(洗脳)しやすい」というところ。ははぁ、立派な経歴を持つ人でもそんな風に思われているんだなぁ~と嫌々ながら納得させられてしまった。最近テレビで京都大学の教授が、「最近の若者は留学を嫌がる」とぼやいていたらしいけれど、留学すると日本で就職し難くなると言うのはデマでは無いらしい。

日本では向上心の強い野心家が生意気だと思われ、保守的な組織では潰され易いらしい。流動性の無い日本の社会が、既成の習慣に刃向かう人間に嫌悪感を抱き易く、敷かれたレールから外れる人間を企業側がどれだけ嫌悪しているか、反逆を心配し、被雇用者を従順に従わせる為だけにどれだけ神経をすり減らしているのかが窺われる。「勝手に工夫しない人」「枠からはみ出さない人」「自分の意見を言わない人」が日本の企業にとっては重要らしい。ただ自分の手足になって働いてくれれば良く、頭の意思に背いて勝手に手足が動き出してしまっては困るのだ。別に大企業でなくても、一般の企業ではただの手足が必要なことが多く、自分の頭で勝手に動かない、常に上の意見を伺う謙虚な姿勢が日本では重要らしい。向上心が強くて自己主張の強い人には外資系が人気と言われているけれど、hihi64さんはまたどうして日本に拘られるのか、意外に強固な保守性で書かれているhihi64さんのBlogを、これからも楽しく拝読させて頂きたいと思う。

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